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■ 第1話 だめドラドへの旅立ち

インディオの少年、だめペペロは10歳になった。インディオのこの村では10歳になると男の子は大人の資格が与えられるのだ。そしてここはだめペペロの家の中…。

【だめアニータ】
「こらーっだめペペロ、お前も大人になったんだから早く仕事に行ってきなさい!」

【だめペペロ】
「母さん、10歳になったお祭りはやらないの?」

【だめアニータ】
「そんなお金ある訳がないでしょ! 死んだ父さんが作った借金でウチは貧乏なのよ!」

【だめペペロ】
「えー、でも他所はみんなやっているよ。」

【だめアニータ】
「他所は他所、ウチはウチ! 大体お前も大人になったんだから子供手当も支給されなくなるし、年金とかも払わなくちゃいけないのよ。収入が減って支出が増えるの。つべこべ言わずに働いてきなさい!」

だめペペロは家から追い出され、とぼとぼと仕事に出かける。

【だめペペロ】
「ひどいなー、大体他所の国じゃあ10歳はまだまだ子供だって話なのに…。それにしても貧乏貧乏って言っている割に、なんで母さんあんなに太っているんだろ?」

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だめペペロは水汲みの仕事をもらって谷川まで出かける。水を汲もうとすると水面に黄金に光ったコンドルの姿が映った。

【だめペペロ】
「コンドルだ、光るコンドルだ!」

だめペペロは光るコンドルを追いかけるが見失ってしまう。諦めて戻ろうとするとどこからか咳払いの声が…?

【咳払いの声】
「エヘン、エヘン。」

咳払いが聞こえてきた方向を見ると、老人としゃがみこんだ少女の姿が目に留まった。

【だめペペロ】
「おじいさん、どうしたの?」

【だめチチカカ】
「この子の具合が悪くてな、どこか休ませる場所が無いかと探しているところじゃ。」

【だめペペロ】
「休ませる場所? うーん、ウチの村には宿屋が無いからなあ。そうだ、確か山を3つ超えた隣村に宿屋が…。」

【だめチチカカ】
「この子の具合が悪くてな、もっと近くに休ませる場所が無いかと探しているところじゃ。」

【だめペペロ】
「でも、もっと近くと言ったらウチの村しか…。」

【だめチチカカ】
「この子の具合が悪くてな、お前の村に休ませる場所が無いかと探しているところじゃ!」

【だめペペロ】
「ウチの村と言っても…。」

【だめチチカカ】
「この子の具合が悪くてなぁ!」

【だめペペロ】
「あ、あのう、…よろしかったら僕の家にでも。」

【だめチチカカ】
「最初からそう言えば良いのじゃ! まったく最近の若い者は、他人に対する思いやりの心というものがまるで無いようじゃ…(ブツブツ)」

【だめペペロ】
「(あれ? 何で僕怒られているんだろう…?)」

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家に戻るだめペペロ達。
【だめペペロ】
「ただいま、母さん。」

【だめアニータ】
「随分帰りが早いわねえ、仕事はどうしたの? …あら、その人達は?」

【だめペペロ】
「実は…。」

【だめチチカカ】
「ワシはだめチチカカ、この子はだめケーナ。ご迷惑とは思いましたが、旅の疲れが出てこの子の具合が悪くなりました。お宅のお子さんが困ったときはお互い様、どうしても休んで行けというもので、お言葉に甘えて休ませてもらうことになりました。」

【だめアニータ】
「え…?そうなの、だめペペロ。」

【だめペペロ】
「あの…。」

【だめチチカカ】
「さすがお宅のお子さんは優しい心を持っていらっしゃる。なかなか見ず知らずの旅人へ親切にすることは出来んものじゃ。きっと奥さんの教育が良かったのじゃろう。」

【だめアニータ】
「いえ、それほどのことは…。」

【だめチチカカ】
「早速じゃが、食事を用意してはもらえんじゃろうか。旅の疲れを癒すにはまず栄養を付けねばならん。」

【だめアニータ】
「え、いきなり言われても大したものは用意できませんが。」

【だめチチカカ】
「とりあえず出来るものをよろしく頼む。」

【だめアニータ】
「はあ。」

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料理を一心不乱に食べ始めるだめチチカカとだめケーナ。その二人を呆気にとられて眺めているだめアニータとだめペペロ。

【だめアニータ】
「ちょっとだめペペロ、どういうことなの?」

【だめペペロ】
「僕も良く分からないんだ。」

【だめアニータ】
「良く分からないって、お前が連れてきたんでしょ? それにしても本当に具合が悪いのかしら、おじいさんはともかく女の子も随分食欲旺盛みたいだけど。」

【だめチチカカ】
「奥さんおかわり!」

【だめケーナ】
「私も!」

【だめアニータ】
「はいはい。」

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食べ終わるだめチチカカとだめケーナ。

【だめチチカカ】
「あー、食った食った。それでは奥さん、今からちょっと横になりたいのですが、ベッドはこっちの部屋ですかな?」

【だめアニータ】
「え? あのちょっと…。」

突然だめケーナがふらつき始める。

【だめケーナ】
「ああ、ちょっと目眩が…。」

【だめチチカカ】
「おお、だめケーナしっかりしろ! 奥さん、この子をすぐにベッドに寝かさないと。」

【だめアニータ】
「あ、そうですわね。こちらです。」

ベッドに寝かされるだめケーナ。

【だめアニータ】
「大丈夫かしら…。」

【だめチチカカ】
「あ、奥さんご心配なく。後はワシが面倒見ますので。」

【だめアニータ】
「え、でも…。」

【だめチチカカ】
「大丈夫です。暫く寝ていれば元気になりますから。」

【だめアニータ】
「そうですか? それなら良いのですけど。」

【だめチチカカ】
「さあ奥さん、家事の続きもあるでしょうからそちらを優先させてください。この子は私が見ていますのでお構いなく。さあ、さあ。」

【だめアニータ】
「え、いや、あの…。」

部屋から追い出されるだめアニータ。

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【だめアニータ】
「ちょっとダメペペロ、何なのよあの人達?」

【だめペペロ】
「良く分かんない。」

【だめアニータ】
「分からないって…、お前が連れてきたんでしょ。それに備蓄していた食料もあんなに食べられちゃって。当分お前の昼ごはん抜きよ!」

【だめペペロ】
「えー、ひどいよ母さん!」

【だめアニータ】
「ひどいも何も、お前があの人達を連れてくるのが悪いんじゃないの。」

【だめペペロ】
「…ちぇ。」

うなだれるだめペペロ。その時奥の部屋からガタンガタンと物音が。

【だめチチカカの声】
「あいたたた、何をするんじゃこのチンチラは!」

顔を見合すだめアニータとだめペペロ。

【だめアニータ】
「ちょっと、どうしたんです?」

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だめアニータとだめペペロが部屋に入ると、チンチラのだめチラがだめチチカカに噛み付いている姿が目に映った。

【だめアニータ】
「まあ、だめチラ止めなさ…」

だめアニータは言いかけて、部屋が荒らされているのに気がついた。どうやらだめチラはだめチチカカがタンスを物色し始めたのを見て噛み付いたらしい。

【だめアニータ】
「泥棒!!」

【だめチチカカ】
「チッ、ばれてまったからにはしょうがない!」

だめチチカカはだめペペロを捕まえると短剣を取り出した。

【だめペペロ】
「わあ、母さん助けて!」

【だめチチカカ】
「息子の命が惜しければ…。」

言い終わる前にだめアニータのフライパン・パンチが炸裂。だめチチカカ、あっけなくダウンする。横で涙目のだめペペロ。

【だめペペロ】
「ひー。」


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意識を取り戻すだめチチカカ。だめチチカカとだめケーナはロープで縛られている。その前に仁王立ちしているだめアニータ。

【だめチチカカ】
「わ、ワシらをどうするつもりじゃ?」

【だめアニータ】
「さーて、どう料理してやろうかね。そういえば、最近腹をすかしたピューマがこの辺をうろついているらしいねえ。ひっひっひ。」

青ざめるだめチチカカ。

【だめチチカカ】
「お、奥さん。命だけはお助けを! ワシはこのガキにたぶらかされていただけなんじゃ。」

【だめアニータ】
「はあ? 往生際が悪いぞジジイ!」

【だめチチカカ】
「本当なんですじゃ、奥さん。実はだめペキパ峠で倒れていたこのガキをワシが助けたのじゃが、どういう訳か過去の記憶をまったく無くしていたのじゃ。そこで記憶が戻るまでと一緒に旅を続けて来たのじゃが…。だがどうやら、黄金のだめコンドルを毎日見たことがあるかもと言うのじゃ。」

【だめアニータ】
「え、黄金のだめコンドル!? それを見た者をだめエルドラド、通称“だめドラド”へ導いてくれるというあの黄金のだめコンドル?」

【だめチチカカ】
「古い言い伝えを良くご存知ですな、まさにそれですじゃ。このガキの言うことを信じたワシもバカだったのじゃが、ついつい欲が出ましてな。このガキと一緒にいればそのうちだめドラドへ辿り着けるんじゃないかと。そうしたらこのガキ、大人の心を読むんでしょうな。だんだん態度が横柄になってきてワシを家来のように扱うようになりまして、まるでお姫様気取りなんですじゃ。だんだん贅沢になってきて手持ちの資金も底を付き、遂にはこんなコソ泥のような真似をする羽目になったんですじゃ。全てはこのガキが嘘をついて大人の心を弄んだせいなのですじゃ!」

【だめケーナ】
「…黄金のだめコンドルの話は本当よ。」

【だめチチカカ】
「まだ言うか! 冷静に考えればそもそも黄金のだめコンドルなんて本当にいる訳が無い、ただの古い伝説だって言うのにワシとしたことがこんなガキに…。」

【だめペペロ】
「え? でも僕、今日光るコンドルを見たよ。あれが黄金のだめコンドルなのかな?」

【だめチチカカ】
「え?」

【だめアニータ】
「そう、あなたも見たの…、黄金のだめコンドル。」

【だめチチカカ】
「え?」

【だめアニータ】
「父さんも7年前、黄金のだめコンドルを見てだめドラドを探しに行ったのよ。これで楽して儲かる、借金返済生活から抜けられるって。」

【だめペペロ】
「え、それじゃあ父さんは事故で死んだんじゃなかったの?!」

【だめアニータ】
「いい年して長老の世迷言を信じてだめドラドを探しに行き、行方不明なんて恥ずかしいから死んだことにしていたんだけど…、これはひょっとして本当にあるのかも…?」

【だめチチカカ】
「ええ?」

【だめアニータ】
「本当にだめドラドがあったとして、何でだめカルロスは帰ってこない? 途中で野垂れ死にしたのか、それとも…?」


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暫く考え込むだめアニータ。

【だめアニータ】
「だめドラドはただで黄金をくれる所。黄金を手にいれただめカルロスは…。」

ハッと顔を上げるだめアニータ。

【だめアニータ】
「アイツのことだ、そのままだめドラドに住み着いて、面白おかしく暮らしているに違いない! キーッ、私がアイツの借金のせいで食べたいものも食べられずに我慢しているってのに!!」

呆気にとられる一同。

【だめアニータ】
「だめケーナ、今回のことは許してやるからウチの息子と一緒にだめドラドを探してくれないか?」

【だめペペロ】
「え、ちょっと母さん…?」

【だめケーナ】
「私も自分の記憶を取り戻したいので依存はないけど…。 それでいいのか?」

【だめアニータ】
「…決まりね。だめペペロ、早速旅の準備をしなさい。だめドラドに父さんがいたら連れ戻してくるのよ!」

【だめペペロ】
「そんなぁ、いきなり言われても…。」

【だめアニータ】
「つべこべ言わずに仕度をしなさい。どうせこのまま家にいても大した稼ぎもないんでしょ?!」

涙目のだめペペロ。

【だめチチカカ】
「あの奥さん、私はどうなるんで?」

【だめアニータ】
「黄金のだめコンドルを見たことのないやつに用は無い。ピューマの餌ね。だいたいお前は信用できないから。」

【だめチチカカ】
「ひー、お助けをー!」


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【ナレーション】
父、だめカルロスを探すだめペペロの長い冒険の旅が始まりました。だめペペロはお父さんに会えるのでしょうか? そしてだめケーナの記憶、伝説の街だめドラドに隠された秘密とは一体何なのでしょうか。だめペペロ達の行く手には雪を被った白く険しいアンデスの山々が今日もそびえ立っているのです。


おっけっ!!@管理人

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